ディスクスタビライザー DS-25 生田氏の試聴レポート
faure2 フォーレ/ピアノ五重奏曲第1番 第1楽章
Domus(ピアノ+四重奏団)
【この演奏について】

 演奏団体のDomusとはラテン語で「家」「家族」といった意味だそうです。室内小編成の演奏団体=家族、というような意味合いでしょうか?なかなか意味深いネーミングです。
 演奏の方も大変繊細で楽器の音色の移ろいが夢心地のように美しく、それでいて濁らない力強さや音楽の推進力にも富み、奥深さ・美しい音色・新鮮さを演奏から感じました。

 彼らは1979年の結成だそうで、初レコーディングは85年に行われた同じフォーレ作品のこれもまた有名なピアノ四重奏曲第1&2番でした。しかしこれがいきなりグラモフォンのレコード・オブ・ザ・イヤー(室内楽部門)に輝き、ドイツ批評家大賞も受賞、英国ではBBCベスト・レコーディングに選ばれる、といった具合で世界から賞賛されたのでした。

 今回試聴の<ピアノ五重奏曲>は、作曲家フォーレの中期から後期にかけての大傑作作品。切なくこの上なく情感細やかな音楽で始まる冒頭から、心を奪われてしまいます。

【音について】

 一聴して高音質とわかる、なかなか良いディスクです。弦楽器やピアノの高音は特にきれいに聴こえます。普通に何も考えず聴いている分には美しい音です。
 しかし良く聴いてみると、まず低音のチェロが緩いです、ピチカートで奏でる時は特にそう感じます。各楽器の音色の変化も良く出ていると思いますが、きつめで音がきちんと鳴りきれていない感があります。ですから楽器が重なるとバランスが悪く音が濁りがちです。
 特に弱音からクレッシェンドで音が厚くなる時は、音の濁りがはっきりしてしまいます。

【Remaster Ring を貼って第1楽章を試聴しました!】

 冒頭のピアノの大変美しい細かな動きで始まる音楽は、誰もが注目すると思います。
一瞬「おや、ピアノが奥に引っ込んだかな」と思いましたが、それは私の早とちり。Remaster Ringを貼る前からここは美しい音を響かせていましたが、あれは演出がかったやや派手めな音だったのです。
 なぜならRemaster Ringを貼ると、見事にピアノという楽器特有の響きにピタッと決まります。派手ではない、その音域にあるべきピアノの響きをきちんと出してくれるのです。感心しました。

 そこから、まず加わる(9秒後)ヴァイオリンの音色がこれも芯のある美しい確かな存在感のある響きとなり、わずか数秒の間にいくつもの繊細な表情が描かれていたのがわかるようになりました。実演奏を想像できるほどに変わりました。こうなるとこの後更に加わってくるチェロ・ヴィオラの重なり具合も見事に聴き取れ、ピアノと弦楽器のバランスが大変良くなりました。

 音の濁りを聴かせていたクレッシェンド(例えば44〜54秒)や強奏の時(例えば2分35秒〜3分や7分50秒の部分)や緊張感の続く流れ(8分40秒〜9分10秒)の音楽も、見事な調和の元にバランスの良い響きとなり、5人の音楽的会話が聴こえてきます。
 バランスが良くなってわかってきたのですが、この第1楽章に限らずこの五重奏は、ピアノが弦楽器の音楽の流れに常に添うようなバランスで実に美しく細やかに立ち回るのです。 弦の音色につかず離れず、ピアノという単一楽器から無数の色合いを振りまきながら見事に奏でられていく様が聴こえてきました。

 是非第1番第1楽章にとどまらず、このDiskに収められた第1番、第2番全曲をお聴きになってみてください。心が震わされます、必ず。

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